ただ見て読んで楽しむが吉!絵本『ここは(河出書房新社)』最果タヒ (文), 及川賢治(イラスト)

『ここは』最果タヒ (文), 及川賢治(イラスト).河出書房新社 今注目の詩人最果タヒ氏の初絵本です.  『ここは,おかあさんの ひざのうえです。』から始まり,『ここ』について色々観察して行きます. さて『ここは』どこだったのでしょう.  見方や視点,環境の観察によって,色々な『ここ』が現れてきます. コンテンツの意味は,コンテキストの置き方によって多重にオーバーロード…

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粗筋の方が本篇より長くなる!?『100文字SF』北野勇作

『100文字SF』 ハヤカワ文庫 北野 勇作 (著) 白い表紙に 15文字×7 の矩形に収められた文.文中の太字 100文字SFと北野勇作 が,書名と著者名というお洒落な文庫.様々な切り口の超ショートショートSFが200篇.これが読書のその時の気分で違った意味に読めたりして面白い.お勧め. 北野勇作さんが投稿し続けているtwitter小説からうまれた『ほぼ100字の小説』.…

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有川浩の映像作品の舞台裏?『イマジン?』有川ひろ

『イマジン?』有川 ひろ.幻冬舎 自身の気作品『図書館戦争シリーズ』,『空飛ぶ広報室』,『阪急電車』などの映像化現場をみてきた,原作者 有川ひろ さんによる,映像制作の現場を題材にした小説が本書『イマジン?』です. 映像制作の現場のあるある風なエピソードも満載で,笑わせてくれます. 中堅映像制作プロの『殿浦イマジン』の,アルバイト良井良助(いいりょうすけ)を中心に制作会社イマジン…

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これが面白い!『映像研には手を出すな!』大童澄瞳

『映像研には手を出すな!』 大童澄瞳,ビッグコミックス,小学館  2020春アニメの中で特に面白かったのが,この『映像研には手を出すな!』 (湯浅政明監督作品)でした.  奇妙な町の高校で,アニメーション制作の同好会『映像研』の世界観察と設定に特化した浅草みどりと,動画演技に特化した水崎ツバメ,彼女らをプロデュースし制作環境を整えビジネス化を進める金森さやかの三人娘を中心にした,…

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これがすごい!アニメ『海獣の子供』と同モティーフの実写アート映画『トゥレップ』

『トゥレップ』監督 山岡信貴. STUDIO4℃.85分.  山岡信貴監督による,アニメ劇場映画『海獣の子供』と同じモティーフを扱う実写映画が本作.  これはすごいです.アート映像作品ですね.必見です.  アニメ『海獣の子供』の取材で得られたと思われるミクロネシア現地のインタビュー素材と,中沢新一をはじめとする各分野の専門家へのインタビューのフラグメントとを再構築し,生物の進化…

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ミッフィー,モネ,詩人が好きなモノの要因を分析!?『「好き」の因数分解』最果タヒ

『「好き」の因数分解』最果 タヒ.リトル・モア.  詩人最果タヒ氏が自身の好きなものを挙げ,なぜ好きなのか因数分解(好きの要因などを分析)するエッセイ集.タヒ氏の好きなものエッセイ集としては,食べ物に特化した”もぐもぐもぐもぐ…”って『もぐ∞』があるが,本書では色々なモノ(食べ物も含む)を因数分解しちゃいます.  ミッフィー,モネ,よつばと!,エレキベースなど最果氏の挙げた項目の中に…

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異界のおばちゃんたちと奇妙な会社のお話『おばちゃんたちのいるところ』松田青子

『おばちゃんたちのいるところ - Where the Wild Ladies Are』松田 青子,中央公論新社.  表紙の明るい黄色と「おばちゃん」の文字の取り合わせで,どこかの商店街のおばちゃんたちのお話だとばかり思っていたのです.ですがまったく違いましたね.読後に表紙の絵を見たり帯を見るとちゃんと内容にそって書かれているじゃないですか.そうこれは異界のおばちゃんたちが,この世界で活…

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片渕作品をさらに楽しむために『総特集 片渕須直: 逆境を乗り越える映画監督』河出の文藝別冊ムック

『総特集 片渕須直: 逆境を乗り越える映画監督 (文藝別冊) 』河出書房新社編 (編集)  アニメ監督の片渕須直さんを特集した河出書房新社の文藝ムック(過去に森見さんや筒井康隆さんの特集があったあのシリーズ).『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の公開に合わせて年末に発行されたのが本書.  インタビューから論考,エッセイ,対談や未発表アニメシナリオまで,片渕監督の幼少の頃や学…

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今回はシェアキッチンとハウスが舞台『ぶたぶたのシェアハウス』

『ぶたぶたのシェアハウス』矢崎 存美,光文社文庫.  矢崎存美の人気シリーズ『ぶたぶたさん』の最新刊(2020年1月).ぶたぶたさんシリースは通常は夏(7月),冬(12月)に発行されていましたが,今作はなぜか1月発行でした.  ぶたぶたさんは今回シェアキッチン兼シェアハウスのオーナーです.訳ありの方や悩みのある方がここに惹きつけられ,ぶたぶたさんと関わりを持つ中で癒されていくという連…

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これが読みたかった!『文豪たちの怪しい宴(創元推理文庫)』鯨統一郎

『文豪たちの怪しい宴 〈邪馬台国はどこですか?〉シリーズ』 鯨統一郎,創元推理文庫.  ついに出た.これですよ,これが読みたかった.鯨さんが文芸作品の謎に直球で挑む.鯨さんの文芸ミステリは数々あれど,今までは文芸作品の謎と推理小説上の事件のコラボとして提示されるものが多かったように思います.しかし本作は,文芸作品自体の謎に切り込んでいきます.  オビに書かれていますが,本書は歴史…

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歴史書読み解きSF!?『戦渦の神宝』機本伸司

『戦渦の神宝』機本伸司 ,ハルキ文庫.  『神様のパズル』から始まる穂瑞沙羅華シリーズが人気の機本伸司さんの新機軸.歴史書読み解きSF.  時は第二次世界大戦末期,藁をも掴む思いで軍は『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』に書かれている『十種瑞宝(とくさのみずのたから)』の霊験にすがり勝利を得ようとしていた.  軍の調査団に召集された主人公の外園だったが,調査団の発掘の方針とは別…

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バーで隣の与太話に聞き耳を立てる『テレビドラマよ永遠に』鯨統一郎

『テレビドラマよ永遠に 女子大生 桜川東子(さくらがわはるこ)の推理』鯨 統一郎,光文社.  鯨さんの人気シリーズである『女子大生 桜川東子の推理』シリーズ.  街はずれのバーで刑事さんや常連さんたちの与太話のなかから,東子さんが事件を解決するというこのシリーズ.実はこの『与太話』の方がお楽しみのメインなんです.今回のお題は『テレビドラマ』.「ああ〜,あったあったそんなドラマ」,…

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ホッとしたい方にお勧め『スイート・ホーム』原田マハ

『スイート・ホーム』原田マハ(著) ポプラ社  原田マハさんというとアート小説のイメージだが,本作はほっこり系.そういえばデビュー作も日本ラブストーリー大賞『カフーを待ちわびて』なので,こういうのもありなのです.  舞台は梅田から電車とバスを乗り継ぎ40分ほどにある洋菓子店「スイート・ホーム」.この洋菓子店に纏わるほっこり話の連作短篇集です.  まるで矢崎存美さんのぶたぶた…

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こうの史代 片渕須直 対談集 さらにいくつもの映画のこと

「この世界の片隅に」こうの史代 片渕須直 対談集 さらにいくつもの映画のこと 文藝春秋 こうの 史代 (著), 片渕 須直 (著)  2016年の映画『この世界の片隅に』の公開から3年を経て,2019年12月20に『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が公開予定となっています.  本書には『この世界の片隅に』公開前から『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』公開直前までの,映…

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軽い外伝が六篇『祝祭と予感』恩田陸

『祝祭と予感』恩田陸.幻冬舎.  恩田陸のベストセラー小説『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ短篇集が本書.続編ではなくスピンオフ短篇ってことで,軽い短めの外伝が六篇収められています.映画『蜜蜂と遠雷』の公開に合わせて発刊されたようですが映画の内容とは関係がなく,小説『蜜蜂と遠雷』のファンブック的な感じです(初出は蜜蜂と遠雷のCDに寄せられた短篇と小説幻冬に掲載の短篇です).  本書のカバ…

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国立西洋美術館へゴー!『美しき愚かものたちのタブロー』原田マハ

『美しき愚かものたちのタブロー』原田マハ.文藝春秋. アート小説の原田マハによる松方コレクションにまつわるお話.  戦前のパリで実業家松方幸次郎は絵画を買い集めていた.松方の夢は日本に美術館を作ることだった.そこへ美術史研究者の田代雄一も加わり名画をコレクションしてゆく.戦後に吉田首相の力添えもあり田代氏たちの松方コレクションの返還交渉が始まるが…  松方がいかにして名画を…

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原田マハ小説の舞台裏!!『フーテンのマハ』

『フーテンのマハ』原田 マハ, 集英社文庫  美術小説で人気の原田マハさんの原点は,女子ふたり旅『ぼよグル』だった!?  マハさんは常に色々な所を巡っているとのこと.『ぼよグル』これは友人との二人温泉グルメ旅から始まり,後にテーマを決めて各地を巡るというもの.そのエッセイ集です.初出は『小説すばる』の連載.  青森で「あっつあつの焼きそば」を食べたり,鳥取「カニ」を食べた…

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チョコレート・ガールを追え.私小説を再定義!?吉田篤弘『チョコレート・ガール探偵譚』

『チョコレート・ガール探偵譚』吉田 篤弘  クラフト・エヴィング商會の吉田さんの『月とコーヒー』,『フィンガーボールの話のつづき』につづく片手で持って読める小さな本シリーズのひとつ.ハードカバーなのに片手で読めて,外出時にカバンに入れて行きたくなる大きさなんです.  古書店で手に入れたパンフの『チョコレート・ガール』の文字に引かれた「私」.それは昭和7年のサイレント映画のパンフだ…

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毎晩一篇ずつ読みたくなる『月とコーヒー』吉田 篤弘

『月とコーヒー』吉田篤弘.徳間書店  クラフト・エヴィング商會の吉田篤弘の小さな本シリーズ(?)の一冊.とある世界でおこるおかしな話の短篇小説集. 装幀 クラフト・エヴィング商會.  各篇がほぼ原稿用紙十枚程度のショートショートなのが良いですね.本書の世界の人間模様をチョット覗いてみた感じが良いですね.書名に『月』とあるように,夜ちょっと読むのがお勧め.私は一気読みせずに,就寝前に時…

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コーディアル が気になる『ぶたぶたのティータイム』矢崎 存美

ぶたぶたのティータイム 矢崎存美 光文社文庫  矢崎存美の人気シリーズ『ぶたぶた』さんの2019年夏巻が本書.  ティータイムということでカフェ,レストラン系統のぶたぶたさんです.カフェ/レストラン系は良いですよね.美味しそうな食べ物飲み物が出てくるところが好きです.連作短編集で気軽に読めます.この設定のぶたぶたさんはまた時々続編を出して欲しいなぁ.  本書を読むこと自体が…

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